植物の体は全体の半分から8~9割は水でできています。
そして、根から水分を吸収するときは土中の様々な栄養分も一緒に補給します。
吸収された水は導管を通って葉に届き、光合成に利用されて植物に必要な栄養に変換されます。
植物の発芽、生長に欠かせない存在が「水」なのです。
人間は本来の自然の姿を様々につくり変えて利用してきました。
園芸、ガーデニングも同じです。
人間の意図や都合で植えられた植物は、人が管理してあげないと充分に育つことができない場合が多いのです。
水やりはその基本になります。
水やりの基本中の基本「乾いたらたっぷり」
水やりは土の表面が白っぽく乾いたら、たっぷり与えるのが基本です。
土が乾かないうちに毎日のように水を与えて、鉢の中がいつも湿った状態だと、根が酸素不足で呼吸できなくなり、「根腐れ」の原因になります。
意外と知られていませんが、植物の健康には水分がなくなって乾燥している期間も必要なんですよ。
あと、水やりには水に含まれている新鮮な空気を土に入れて、土の中に停滞している古いガスを入れ替えるという役割もあります。
実際の水やりのポイントとしては、ハス口は外して、土にだけ水をかけるようにしてください。
ハス口が必要なのは、細かな水をシャワーのようにかけたい幼い苗だけです。
水やりを重ねると土の表面が硬く締まってしまいます。そういう時は土の表面を棒などでやさしくつついてほぐしてあげてください。
「夏の水やり」気温の低い朝夕に「冬の水やり」は最低限に
夏の水やりは、水やりをしてもすぐに土が乾いてしまうので注意が必要です。
「乾いたらたっぷり」の基本は変わらないですが、乾くまでの期間が非常に短くなるので毎日、土の様子をチェックしなければなりません。
水不足の乾燥はよくないのですが、じめじめした多湿な状態が続くのもまずいです。
夏場、コンテナや鉢植えは、下に「すのこ」などを敷いて風通しを良くする工夫を。
夏の水やりは朝夕の涼しい時間帯にしてください。
日中水を与えると土の温度が上がってサウナ状態になり大切な根を傷めてしまいます。
熱帯夜になりそうな日は、夕方の水やりの時に植物の周りに打ち水をしましょう。
周りの温度も下げ、植物も喜んでくれますよ。
冬が近づいて寒さを感じる時期になったら、日が昇った午前中に与えてください。
気温の低い朝夕に与えると、根に大きな負担になります。
それもくみたての冷たい水ではなく、あらかじめくんでおいた水がいいでしょう。
冬は多くの植物が休眠期に入ります。特に雪が積もるような地域では「水やり」は必要ありません。
地植えの庭木は水やり不要・観葉植物は乾燥防止の葉水を
庭木への水やりは基本的に不要です。夏の暑い時期にハス口をつけたホースで葉水と打ち水を兼ねて与えるくらいでOKです。
むやみに水を与えて根腐れしてはたいへんです。
ただし、コンテナは別です。小さなコンテナの中の土だけでは十分な水は補給できないので。
土の様子を見ながら、乾いたらたっぷりあげてください。
室内で育てることの多い観葉植物は、通常の水やりのほかに「葉水」が必要です。
葉水とは、霧吹きなどで細かな水を葉にかけることです。
なんとなく調子の悪い観葉植物に葉水をしたら、すごく元気になるということがよくあります。
直接葉に水をかけることで葉についたホコリを落とすことになりますし、水を嫌うハダニ類を予防することにもなります。
暖房で部屋が乾燥しやすい冬場は、湿度が50%を下回ったら、葉の裏と表両方に葉が軽く湿る程度に葉水してあげましょう。
留守中の水やりの効果的な方法
旅行や出張でどうしても家を留守にすることってありますよね。
そんな時心配なのがコンテナの植物たちだと思います。
まずは、乾かさない工夫から見ていきましょう。
とりあえずコンテナを風通しの良い日陰に移動しておきましょう。
水分の蒸散を抑え、次の水やりまでのタイミングを先延ばしできます。
夏をのぞいて、2~3日の留守ならこれだけで大きな問題は起きないはず。
ミズゴケや短冊切りした新聞紙を濡らして土の上にのせてマルチングするのも効果的です。
次に、留守中の水やりです。
代表的なのが「底面吸水法」。
鉢皿や穴の開いていない鉢に2~3cm水をためて、鉢底に木綿や不織布などを差し込んで
水を吸わせる方法です。
鉢皿に1~2cmの水を入れ、鉢底から直接水を吸収させるやり方も。
これは「腰水」と呼ばれ、すごく効果的なんですが、夏場は水が温まって根を傷める可能性があるので注意してくださいね。
まとめ
植物にとって水はホントに生命線です。水分なしでは生きていけないのが植物なので。
「乾いたら、たっぷり与える」これを覚えておくだけで、植物を枯らす割合は大きく下がります。
季節によって水の量を増減させないといけませんし、外と室内でも違います。
室内で育てる植物にはたまに「葉水」することも忘れないで。
植物は無口ですが生きていますから、長期で留守にする時はすこしだけ気にかけてください。
必ずその優しさに応えて、あなたの帰りを待っていてくれるはずです。