盆栽は、昔から大人の趣味の定番でしたが、密にならずにできる趣味として再評価されています。
盆栽は何となく難しいイメージがありますが、実は誰でも簡単に楽しめる趣味なのです。この記事では、これから盆栽を始めたい初心者向けに基本的な用語や準備すべき材料や道具、盆栽鉢などについて解説します。
盆栽のつくりと樹形
まず、盆栽の樹木の姿に関わる基本的な用語について紹介します。
盆栽の樹木の姿の特徴を表す部位はつくりと呼ばれ、仕立て方に大きく関わる樹形は自然の中にある樹木を基になっています。また、盆栽には基本となるサイズがありますので覚えておきましょう。
つくり
つくりの基本は以下の6つになります。
- 頭(樹冠)|樹木の最上部のことで全体の輪郭や流れを決める重要部位
- 枝棚|ひとつの枝から出た先端の小枝や葉のかたまり
- 一の枝から四の枝|伸びた枝を根元から順番に呼ぶ
- コケ順|根元から頭に向けて幹が細くなっていく様子
- 根張り|地表に現れ目に見える根の張り具合
- 立ち上がり|根張りから一の枝までの最も太い幹部分
樹形
樹木にはそれぞれ個性や性質があり木姿に現れるものです。樹木の魅力となる個性を引き出すのも盆栽の醍醐味の一つです。樹形は木姿を理解するのに重要な要素となります。
幹の立ち方は、直幹・斜幹・双幹で区別されます。木の先が向かう方向で決まるのが、懸崖・文人木・吹き流しです。幹が模様を描くように曲がっていれば模様木、石と一体となっていれば石付きと呼ばれます。
サイズ
盆栽のサイズは、一般的に盆樹の樹高で決められ、3つに大別されています。
- 小品盆栽|樹高10~20㎝まで
- 中品盆栽|樹高20~50㎝まで
- 大物盆栽|樹高50㎝以上のもの
最近では、小品盆栽よりも小ぶりのミニ盆栽の人気が高いようです。
初心者向け樹種
盆栽の樹種は、松柏・草もの・雑木類に分けられます。おすすめなのは手入れが簡単な草ものでしょう。
ここでは、盆栽の樹種について説明します。
草もの
草ものは丈夫で扱いやすく手入れも簡単なうえに、生命力が旺盛で自然のダイナミックさを見せやすい植物です。代表的な草ものをまとめました。
- フウチソウ|細長い葉がそよ風になびき繊細な穂に小花をつける
- タンチョウソウ|ユキノシタ科の多年草で白い花をたくさん咲かせる
- サギソウ・タイワンオギ|湿地に自生する野生ランで丈夫で育てやすい
雑木類
育てやすい雑木類の代表格といえば、次の3樹種です。
- イチョウ|成育旺盛で四季折々の風情を魅せる
- ヤマモミジ|盆栽の中で最もポピュラーで季節の変化が際立つ
- ケヤキ|太くまっすぐな幹と独特な曲線をもつ樹冠のコントラストが印象的
花ものや実ものは雑木類に分類されます。
花もので育てやすく見栄えがするのは、サルスベリやボケです。ウメやカイドウ、サクラは盆栽の定番として根強い人気があります。また、晩春に長い房状の花を豪華に咲かせるフジもファンが多い花ものです。
実もので初心者向けはカリンとヒメリンゴです。カリンは実だけでなく、花や紅葉が楽しめるので人気です。ヒメリンゴは小花と小粒の果実が可愛らしく人気です。
松柏
初心者で松柏に挑戦するのであればシンパクがおすすめです。シンパクは育てやすく風格もあります。
同じように、ゴヨウマツも手入れがしやすく松柏類としては定番のマツです。
クロマツは沿岸の強い潮風に耐えて自生する、青々と大きい葉や豪快な枝ぶりから男松の異名があります。クロマツと対照的に女松と呼ばれるのがアカマツです。優し気でたおやかな姿は女性の繊細さを感じさせます。
簡単用土作り
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ここでは用土の作り方について説明します。盆栽に一番使われる用土は赤玉土で
、砂や水苔を単一または複数ブレンドして使います。
赤玉土
赤玉土は、通気や保水、保湿に優れた用土です。粒の大きさには大・中・小とありますが、盆栽で使うのは中粒と小粒です。粒が大きいほど水はけは良くなります。
微粉が混ざっていると水はけが悪くなるので篩(ふるい)にかけて使いましょう。松柏類は赤玉土7:桐生砂3、雑木類は単一で使えるので簡単です。
砂
砂は用土の通気や保水のレベルを上げる役割と見栄えを良くするのに使用されます。
代表的なのは桐生砂で、松柏類をはじめさまざまな盆栽用土として使われています。
富士砂は火山灰性の砂礫で、黒い小粒が化粧砂として重宝されています。
水苔
水苔は、吸水と保水に優れ、水持ちを格段にアップさせます。水苔は水に浸して戻し、水気を絞ってから使用してください。
肥料・薬剤・消毒
盆栽の肥料は有機質で遅効性で顆粒状のものがおすすめです。アミノ酸、ミネラル類を含んだものを春と秋に施肥してください。
消毒は希釈せずにそのまま使えるものが初心者向けです。薬剤や消毒の散布は、気温の高くない朝か夕方に風通しのある場所を選び作業しましょう。
鉢の選び方
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鉢は樹木と一体となって盆栽の景色となります。深さや色、形など多種多彩です。
鉢選びのコツとしては、幹が太く力強い樹木は深めの鉢、幹が細くたおやかな樹木は浅めの鉢と合わせることで風情がでます。
鉢映りは、近距離や正面から見るだけでなく側面やすこし離れて見ることがポイントです。底穴の数や大きさなど機能面をチェックすることも忘れないでください。
以下に盆栽鉢のおもな鉢の種類をまとめました。
- 泥もの|素焼きと焼き締めに大別され土の色により白泥・紅泥・紫泥など
- 色もの|釉薬を施してある鉢のことをいい青磁・白磁・織部などが代表格
- 変わり鉢|舟形・かご型・なすび型など意表を突く形状が人目を引く
道具の選び方
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盆栽の道具は、お手頃価格の普及品から、職人の手づくり品まで価格や品質は千差万別です。
初心者の方に、最低限、揃えてほしいというのは、剪定バサミ・やっとこ・針金切り・ピンセット・竹箸の5点になります。この5点があれば植え替えや芽摘みもできます。
中品盆栽以上の太い枝を切る場合は、又枝切り・根切りハサミをプラスしてください。また、初心者向けのセットを購入するという選択肢もあるでしょう。