日本は、市場に流通している観葉植物の種類の豊富さでも世界でトップクラスだそうです。
日本人というのは、基本的に、植物との親和性が高いのでしょうか。
「ボンサイ」も「イケバナ」も、そのまま世界で園芸用語として通用しますし、日本の庭園様式は世界中の庭園様式のなかでも特別な存在ですから。
千年近い園芸の歴史が、日常的には園芸に無関心な日本人の中にも生きているのかもしれません。
さて。
この記事では、私たちにとって身近な植物の一つである観葉植物について、室内のおき場所ごとの育て方の注意点や植物の性質を活かした飾り方、様々なモノを鉢にして演出するアイデアについて見ていきます。
観葉植物で室内をコーディネートする
「家の外構はアプローチと駐車場でいっぱいになり、庭を造るスペースがなくなった」
「マンション住まいだから、身近に緑と触れ合うのは諦めている」
そういう時は、家の中に観葉植物を飾りましょう。
ただ、無造作に置くだけでは、人の動きの妨げになったり、植物の生長にマイナスになったりすることがあります。
ここでは、建物の場所ごとに、覚えていてほしいポイントを見ていきます。
玄関と階段
玄関ポーチやホールは、訪れた人の第一印象を決める大切な場所です。
耐寒性や耐陰性のある丈夫な樹種を選んで、こまめに手入れをする習慣をつけましょう。
ちょっとオシャレな器に、寄せ植えしても良いでしょう。
階段は、以前は植物を配置すべき場所ではないと考えられていましたが、最近の階段はデザイン性や機能性に配慮されたものが増えています。
ここにもワンポイント、緑があると住む方のセンスを感じるというもの。
階段には、枝葉が柔らかく、ほっそり背の高いものが似合います。
下から見た姿を一番に、細長く仕立てられたものを選びましょう。
リビング
リビングは家の中で一番人が集まるところです。
人の動きの邪魔にならない、部屋のコーナーや窓辺に置くのがおすすめです。
階段の傍や入り口のドア付近などに置いて目隠し代わりにしたり、自然な感じで間仕切りとして使うこともできます。
また、広い空間であれば、壁に掛けたり天井から吊るすこともできるでしょう。
ここで意識してほしいのが、鉢選びです。落ち着きがあって見栄えのするものを選んでほしいですね。
キッチン・ダイニング
キッチンやダイニングは家族が集まる場所です。
ここにも植物の和らぎやうるおいを飾りましょう。
気をつけたいのが、料理の油や煙で汚れやすいということ。手入れの簡単な植物を選んでください。
最近は、小鉢やミニ小鉢のサイズで、種類豊富で手軽な価格で購入できるものが増えていますから、ちょっとしたついでに買いそろえて、並べておくだけでプチガーデンを楽しむことができます。
浴室・トイレ
浴室やトイレは、完全プライベートのリフレッシュの場です。
生きた緑を置いて、ほっとできる場所にしたいもの。
ただ、利用時間が限られ、冷暗、高湿になりやすい場所でもあります。
1日のうち、ある程度は自然の光が射し込むというのが前提になります。
日当たりの多い場所や乾燥を好む植物は避けなければなりません。
寝室
寝室も他人の進入はオフリミットのプライベートな空間です。
とにかく自分の好み優先で、植物や器を選んでいきましょう。
寝室は、わりと乾燥していて、毛布などの埃が立ちやすい場所です。
週に一度は、静かに散水して、根にも十分の水を吸収させてください。
冬は暖かい日射しのある午前中に手入れをするのがおすすめです。
あと、注意したいのが、いつも暗い場所だとかわいそうだからと、日当たりに出したり引っ込めたりするのはやめましょう。
薄暗いところに慣れた植物にとっては、疲れてストレスの原因になってしまうので。
観葉植物の魅力的で効果的な演出方法
ここからは、観葉植物の様々な演出方法を見ていきます。
あなただけのオシャレな空間づくりの参考にしてください。
気に入ったものが出来上がったら、SNSにアップしてみるのはいかがですか。
玄関の傘立てを鉢にする
ホームセンターやガーデンショップで見かけて、つい購入してしまった観葉植物の小鉢たちの冬場の行き先に苦労していませんか。
姿形が崩れたり、元気がなく貧相になったけど、捨てるのは可哀そう。
そういう時は、大きめの鉢に寄せ植えしちゃいましょう。
例えば、使わなくなって物置にしまったままの、陶製の傘立てなんかにアレンジして植え込むのです。傘立ては、水抜き穴ついてますよね。穴の位置によっては受け皿を用意しましょう。
植物の鉢が隠れるくらいの所まで、発泡スチロールを砕いて入れてください。
そこに元気がいい中鉢くらいの植物を、鉢のまま入れ込み、芯にします。
その周りに少し低めの鉢を添え、さらに周りには徒長したミニ観葉をポットから外して植えます。
表面は、水苔で覆うようにしてください。
発泡スチロールも陶器の傘立ても外気との温度差を緩和し、根が冷え込むのを緩和してくれます。春になったら、また、それぞれの鉢に植え戻してもOKです。
イケバナ風にして植える
イケバナに使われるような花器を利用するのもステキでしょう。
いわば根付きのイケバナです。
植えこむ時のポイントは、中心になるものは鉢の大きさの1.5倍か2倍くらいにすること。
器の大きさにもよりますが、4種6株くらいが基本です。そのうち2株は中心になるもの。
土の代わりに、大粒のハイドロボールや木炭片、スチロール片などを使います。
根と根のクッション材として、水苔を使うのも忘れないでください。
この水苔に、土壌改良材のミリオンなどを混ぜると効果的です。
水やりは、まず最初は、鉢から溢れるくらいの水を与えます。
数分後に、容器ごとそっと傾けて水抜きしてください。
それからは、2~3日に1回、葉水をかけて給水していけば、意外と長持ちしてくれるはずです。
吊り鉢プラス造花で飾る
ゲームやテレビ、パソコンに夢中になって目が疲れたとき、植物の緑を眺めると回復が早まるそうです。
でも、家の中もベランダもモノが溢れていて、植物を飾る余裕がないという時は、植物を吊るしましょう。
壁とか天井に、観葉植物や花を飾るための器も、ネットでちょっと検索すれば手頃な値段でステキな器を購入できるでしょう。
器の重量はなるべく軽いものを、植物は育てやすいものにしましょう。
そうしないと管理が大変ですから。また、中心になるものは生きた植物にして、脇役にはイミテーションを飾るのも技ありです。
それでも、マメに給水することは忘れないでくださいね。
額縁のなかに観葉植物あり
濃い緑の観葉植物をメインにして、いろんな背景をプラスしても楽しむことができるでしょう。
例えば、陶や木の平板にポケットがついたものに、根に水苔を巻いて植え込んだり、フェイクのヤシやカボチャをくり抜いて植え込んだりすると、インスタ映えしますよ。
何かのイベントなどのアイキャッチにも最適です。
ポイントは、小さいものを多めに植えること、根は必ず、水苔で巻いてあげることです。
植物は、土と一緒に鉢に植えるものという概念を捨てると、いろんな楽しみ方が見えてきます。
ガラスの器とハイドロカルチャー
観葉植物を室内に置くのに抵抗がある方もいます。
「結局、根についているのは泥でしょ」とか「虫やカビの温床になるのでは」という意見です。
そこで、登場したのがハイドロボールを利用したハイドロカルチャー(礫耕栽培)です。
ハイドロボールは奥が深いので、詳しく説明するのは別の機会にしますが、このハイドロボールや水苔を利用することによって土無しで観葉植物を育てることがずいぶん楽になりました。
根を洗って土を取り除いてしまう、日本人が昔から馴染んできたやきものと同じ素材である、清潔で透明なガラス器にも使える等のメリットがある優れものなのです。
流木や枯れ枝を組んで乗せる
流木にエアプランツなどの多肉植物を植えこむのがポピュラーになりつつあります。
これも、植物は鉢に植えて飾るという常識を超えた植え方の一つです。
長方形の水盤に盆石を景石として、川砂を敷き詰め、そこにスギゴケやタマリュウなどを飾る。盆材用の鉢に、ヤマゴケを敷き、ヘデラやリュウノヒゲの根をコケでくるんだものを据えて飾る。
この時、ポイントになるのは、余白となる部分とメインになる植物のバランスです。
余白、余韻を大切にする、日本人の気質に合った飾り方を追求しましょう。
観葉植物まとめ
人間は、呼吸するためにも、食して生きるためにも、植物無しではいられません。
そんな遺伝子レベルでの何かが、植物を身近に置きたいという思いにつながっているのではないでしょうか。
植込み一つとっても、最初は失敗することが多いかもしれませんが、「習うより慣れろ」の精神でチャレンジしてみてください。不思議なことですが、集中して続けているうちに、植物の表情の違いが感じられるようになり失敗が少なくなっていきます。
時間が経つのも忘れ作業し、上手く出来上がって、その姿を眺めることができれば、ストレスの解消に大いに役立ってくれるでしょう。