ガーデニング

植物の不思議!栄養繁殖で植物を増やす方法!

 

「クローン人間」というのを聞いたことありますか。SF映画でたまに見るやつです。
生殖というプロセスを経ることなく、誰かの遺伝子とか細胞とかを操作してつくりだされた人間のことです。

 

植物ではこの「生殖」というプロセスなしで個体を増やすことを「栄養繁殖」といいます。
この名は、植物では花を生殖器官、それ以外の根・茎・葉を栄養器官と呼ぶところからきています。

 

ここでは、一般的な栄養繁殖「さし芽・さし木、とり木、つぎ木」について見ていきますね。

 

 

手軽にクローン苗ができる「さし芽・さし木」

 

 

 

植物を増やしたいときの最もポピュラーな方法です。
木の枝を土にさすと切り口から根が伸びて、苗として植え付けることができるようになります。
草花をさすことをさし芽、樹木をさすことをさし木といいます。

 

さし木で育てる一番のメリットは生長が早いこと。
種を発芽させるための面倒な温度管理も必要ありません。
種から育てた植物の花や葉の色味や形は親株と違ってきますが、さし木でつくった苗は、全く同じ色・形の苗になります。これが「クローン苗」の凄いところです。

 

さし木に使う枝を「さし穂」といいます。いきいきと生長している枝から、その年に伸びた若い枝を選ぶのがコツです。病害虫がついていないかも見てください。

 

水ざしというのもあります。コップや花瓶に水を入れ、さし穂をいけて根をだす方法です。
観葉植物やアイビー類はもちろん、アジサイやサルスベリなども可能。
※この水は毎日取り換えてください。水腐れ防止剤を入れておくのもアリです。

 

さし穂は、消毒した刃物(ライターの火であぶる)で、5~10cmの長さに切ったものを。
切り戻しや選定のときに出る枝も利用できますが、若い元気な枝を選んでくださいね。

 

 

初心者でも安心してできる「とり木」

 

 

枝に傷をつけ、親木につけたまま発根を促し、苗木として育てるのが「とり木」
どうして枝の傷から根が出てくるかというと、葉からくる光合成の栄養がそこでストップしてしまうので、根を出して栄養を吸収しようとするからです。

 

とり木は、親木につけたまま新しい苗をつくることができるので、失敗の少ないふやし方といえます。

 

とり木に向く時期は、針葉樹で3月上旬~6月上旬。常緑広葉樹では3月上旬~7月下旬。
落葉樹は4月上旬~7月上旬ころです。とり木は親木への負担を考えて、1本1カ所にとどめておきましょう。

 

とり木の一般的な方法は高い位置の枝で行う「高とり法」。
用意するものは、ミズゴケ、厚手のビニール、ヒモです。
まず、とり木する部分の樹皮を剥ぎ取ります。木部と呼ばれる芯の部分だけを残します。
乾燥防止のミズゴケを巻き、さらにビニールをかぶせてヒモでくくります。
あとは発根を待つだけです。

 

根がいっぱい見えてきたら、ビニールをはがし発根部分の下で親木から切り離します。
ミズゴケは根を傷めないように取りますが、ある程度残っていても構いません。

 

切り離した苗は、深めのコンテナに植え付けて根をしっかり張らせましょう。
コンテナの土は通常の培養土よりもさらにふかふかした柔らかいものがおススメです。
それで根鉢ができたら、定植する鉢植えや花壇に植替えてください。

 

 

樹木を育てる楽しみが広がる「つぎ木」

 

 

 

植物には2本の枝が強く交差して接していると、くっついて1本になるという性質があります。
この性質を利用して苗木をふやすのが「つぎ木」です。

 

1本の木で様々な色の花がついていることがありますが、これはつぎ木をしているからです。
雄株と雌株をつぎ木することで、1本では結実しない種類でも実をならすことができるようになります。

 

つぎ木でもっとも一般的なのが「枝つぎ」です。
台木と穂木の2種類の木を使います。
台木は根が張っている苗で、土台となる木です。
ふやしたい種類の木を親木といい、そこから切り離した枝を穂木といいます。

 

失敗しないつぎ木のポイントは、

  • 台木と親木は、植物の分類単位で同じ属のものを選ぶ
  • 樹勢が似ている木を組み合わせる
  • 形成層をピッタリ合わせる

この3つです。

 

形成層とは、かたい木質部の表面、表皮の内側にあり、新しい細胞がつくられている場所です。
つぎ木をするときは、台木と穂木それぞれの形成層を露出させ、ぴったりと密着させることで
枝と枝が活着し1本の枝になるのです。

 

用意するもの 台木、穂木、つぎ木用テープ、園芸用つぎロウ

枝つぎの手順

  • 5~7cm程度に切り分けた穂木のつぎ木口をくさび型に切る
    (穂木は乾燥しないように切り口を水につけておく)
  • 台木の枝の角を45度の角度で切り落とし、
  • 中心からまっすぐ下に向かって3cmほど切り下げる
  • 台木の切れ込みに穂木を挟み込む
  • つぎ木口にテープを巻いて固定する
  • 穂木上部の切り口に乾燥防止のためにつぎロウを塗る
    (雑菌が入りにくくする働きもあります)

穂木から新しい芽がでてきたら、成功した証拠です。

 

植物って本当に不思議です。切っても根がでてきて生長したり、枝がくっついたり。
つぎ木すれば根はそのままなのに別の木の花や実がなるんですよ!

 

人間もそんな風にできればいいんですけどね。
あっ、ちょっと怖いか。

 

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